SAILING POEMS

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中川恵一先生の講演

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昨年、東京大学医学部附属病院の中川恵一先生の講演を拝聴する機会に恵まれた。エビデンスに基づいた、説得力のあるお話だった。なるほどと思ったポイントを、備忘録として。(ちなみに先生ご自身も膀胱がんを経験しておられる)

・がんのなりやすさは男性>女性だが、定年前の会社員を母集団とすると女性>男性。乳がん罹患のピークが40代後半であることも影響している。

・コーヒーはがんを防ぐ。

・サプリメントは、特定の要素を不自然に大量に摂取することになるので、よくない。

・生き物は今を生きる存在なので、自分はがんにはならないと思うものだ。

・がん細胞は、がん関連遺伝子の偶発的損傷により発生する。細胞分裂のときに損傷する。コピーミス。心筋は細胞分裂しないので、心臓のがんはない。

・遺伝子は経年劣化するので、年をとるほどがんになりやすくなる。

・タバコを吸わない女性の場合、がんになった原因の3分の2は運が悪かったせい。

・その運は、コントロールできる運。生活習慣の改善と、早期発見で。

・がん全体の5年生存率は67%。早期発見の95%が完治。

・日本人は、自分の体を守ろうという意識が希薄。特に男性は昔から酒とタバコの荒くれ男がかっこいいという認識がある。

・「がん家系」の影響は5%にすぎない。

・日本人のヘルスリテラシーは世界各国と比べて低い。保健の授業が機能していない。学校でのがん教育が重要。

・がんにまつわる“迷信”は多い。焦げた部分は避ける、というのも、一日10トン焦げを食べると影響がある、ということ。紫外線では皮膚がんにはならない、むしろ日に当たるべき。皮膚でビタミンを作ることで、骨が丈夫になり、がんも防ぐ。

 

講演の最後に質問できる機会があったので、「乳がんを経験して、食事に敏感になったが、“免疫力を上げる”方法を教えてほしい」とたずねた。

すると、先生は、「生活を変える必要はありません。マクロビしちゃったりしてるんじゃないですか?無駄ですよ。ベジタリアンは短命でがんが多いと出ています。65歳以上は、むしろ肉を食べているほうが長生きです。免疫力、、、せいぜい運動すること。活発に暮らすこと。がんになって豊かな人生になったとしたら、それでいいじゃないですか」とおっしゃった。

きっと、食事摂取に過敏になる患者が多く、日ごろからよくきかれる質問だったのだろう。運動する、活発に暮らす、豊かな人生、、、そうだな、と素直に思った。

一方で、あとからネットの記事で中川先生も私と同じステージ0だったことを知ったのだが、早期発見だったからこそできる踏ん切りだとも感じた。