SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報2004/12/6 米国流家庭教育

先月、仕事でニューヨークに出張したのだが、近郊の一般家庭を訪問する機会があった。質実剛健な両親と、子供四人。にぎやかな大家族という印象を受けた。異例の来客に対し、十七歳の長男マイクは全く人見知りせずに議論に加わってきた。

他にも何軒か訪れたが、どの家でも子供たちは積極的に話そうとし、親もそれを望んでいた。私が客を迎え入れる側だったら、邪魔になるからと子供を別室へ押しやったかもしれない。

一方、弟のジョンはシャイだった。話したいことはあるのだが、もじもじしてしまう。すると、父親の檄が飛んだ。“John, look up!(ジョン、目線を上げなさい)”。勇気を出して父親を見上げながら話すと、“Talk to your guest!(お客さんの方へ向いて話しなさい)”とさらに叱られた。

米国の家庭では、相手の目を見て話すというコミュニケーションの基本を、小さい頃から教え込んでいる。二十年後には今の日本の子供たちが、世界に飛び立ってマイクやジョンと渡り合わなければならない。などと未来を憂える前に、なんでも電子メールで済ませて、フェイス・トゥ・フェイスの大切さを忘れかけている自分の行動から見直さねば。