昨年は「マツケンサンバⅡ」の限りなく明るいリズムに心底から元気づけられた。俳優・松平健がちょんまげに金ラメの着物で歌い踊る。面白おかしいことをまじめにやるサービス精神は、エンターテインメントの基本だ。徹底した基本追求が、時代劇という成熟したコンテンツに新風を吹き込んだ。
昨年の話題商品には、成熟した市場の商品が基本機能の追求や斬新な着眼点で突破口を開いたケースが多い。一・五倍長持ちする乾電池、野菜のビタミンを増やす冷蔵庫、炊飯しない時間を活用する炊飯器クッキングなど、深層に潜んだ本質を求める消費志向の萌芽を感じさせる。
今年はやるものは何か。例えば球場でのプロ野球観戦のように、自ら感動を体験しに行く遊び方。私も子供の運動会でマツケンサンバを踊ったのだが、ＤＶＤで観るのとは別の感動を味わうことができた。
男性用化粧品でのオトナ磨き、防災グッズの購入、医学的根拠に根ざした健康志向の定着も予想される。また光熱費不要の発電住宅のように、環境にも自分にも優しい商品を選ぶ人が増えるだろう。全体として消費者が受け身の姿勢を脱し、本質的価値を能動的に追い求めるようになると予測できる。
