SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報2006/5/1 問題を見つける力

この春、娘が小学校に入学した。毎日一枚ずつ、お知らせの載ったプリントを持ち帰ってくる。登校初日は、プリントの隅に「1にちめ」とあった。数字の部分が点線で印刷されていて、子供がその上を鉛筆でなぞるようになっている。毎日続けていけば、一年間で自然に200まで書けるようになる、というわけだ。

そのスローペースぶりに驚く一方で、頭で機械的に「数字の書き方」を覚えるのとは別の、「感覚的理解」が得られるとも思った。例えば「3日後」と言われたときに、それが実際にどのくらいの長さなのか、肌感覚でわかるだろう。

先生は、「答えを早く見つける力」ではなく、どうして?なぜ?と考えて、「問題を見つける力」をつけてほしい、と話された。オトナも同じ。結論を急ぐあまり、心の余裕をなくしてしまい、途中の道に転がっている果実に気づかずに通り過ぎてしまうことはよくある。

先生の話はさらに続き、「人とは違う問題に気づく」というのはノーベル賞につながる素地でもある、とまで発展した。仕事でも家庭でも「考える道すじ」を大事にする人は、オリジナリティーのある幸せな人生が送れるだろう。