SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報2005/5/23 サステナビリティの神髄

このところ、着物がはやっている。花火大会でも浴衣姿の若い男性をよく見かける。品揃えが広がったことも人気の一因だが、大切に保管されて次の世代に引き継がれる着物を、循環型社会の象徴的存在として評価する向きもある。

江戸時代は超リサイクル社会で、町中にゴミひとつ落ちていなかったそうだ。衣類の修繕、ちょうちんの張り替えなど専門の修理店がたくさんあった。物を燃やした後の灰を買って、染め物や肥料として売る人もいた。必要なものだけを買うのが当たり前だった。

そんな昔の日本人の生活が身近に感じられた出来事がある。実家の母の提案で、娘が、30年前私が着たワンピースでピアノの発表会に出たのだ。当日、遠い昔を懐かしむような母の目を見て、モノを長持ちさせることは、思い出も大切にすることなのだと実感した。

「想いをつないでいくこと」・・・これぞまさにサステナビリティ(継続可能な)の神髄である。モノを買う際にも、心の中で長く生き続けるかどうかという視点を大事にする。そういう人がそろそろ日本にも増えてくる頃かもしれない。