SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

塾への「保護者体験記」(高校受験)

タイトル: 静かな闘志

我が家は中3の娘と、小6の息子の中高ダブル受験でした。受験が迫ってきて親からのプレッシャーがきつくなったと嘆く友人に対して、娘は、「うちは弟の中学受験のほうがたいへんだから、両親の神経は弟に集中していて、私はラッキーなの」と話したそうですが、まさにその通りでした。その上、娘は小さい頃から圧倒的にマイペースで、親が何を言おうとも自分で納得しないと進まないので、私にできることは、ただ見守り、家庭内にいつもと同じ居心地の空気を作ることだけでした。

力になれる科目は英語だけだったので、困って相談してきたときは、ここぞとばかり、最善のアドバイスを心がけました。例えば、「英語のリスニングってどうしたらいいかなあ」とつぶやいてきたときは、ひたすら聴くことが大事だからとVoice of Americaというサイトを紹介したり、Oxford出版の小話集を私が早いスピードで音読し、それを娘が聴きとり、英語で質問に答える、といったこともしました。ユーモアたっぷりの小話ですが、ちゃんと聴き取れないと笑えないので、集中していました。10回足らずのセッションではありましたが、いい訓練になったのではないでしょうか。

夫が中身にかかわったのは、一点だけ。中3になったばかりのとき、中1からの塾のテスト結果を、全体平均とともにすべてグラフ化して、成績の推移を一目でわかるようにしました。その結果、数学の成績に波があることが見えてきました。数学は、ちょっと気を抜くとすぐにわからなくなってしまう教科なので、いいタイミングで気を引き締めることができたと思います。

さて、私自身の受験は小中高大で計9戦。子どもたちの受験も小中高と計12戦終えたところで、母子すべて合わせると16勝5敗(このうち私が3敗)。これだけ数をこなせば、さすがに合格につながる方法がわかってきます。将来の孫やひ孫が受験する場合に少しでも参考になれば、ということで、ひそかに家訓としていることを書かせていただきます。

ちなみに、どれもシンプルですが、ことあるごとに徹底して説き続けてきました。特に大切なのは①。②~⑤の大前提となります。

【我が家の合格5カ条】

①全力を尽くせ。

そうすればどんな結果になっても後悔だけはしないで済む。日々の勉強で全力を尽くしてもなぜかうまくいかないときは必ず相談すること。一緒に工夫しよう。

②順位や偏差値にとらわれるな。

母集団における自分の位置を知るための目安にすぎないから。ただの目安に一喜一憂するのは、自分が小さい人間だと宣言するのと同じ。

③早く寝よう。

塾の宿題が終わらなくても、眠くなるまで粘ったりせず、時間が来たら寝る。脳も成長期。成長ホルモンの出る22:00~2:00は寝ていたい。

④主役は君だ。

「大学進学実績」や「親や周囲の意見」は、参考情報にすぎない。主役は君だ。君が何を考え、何を創り、どう生きるかがすべてなのだ。

⑤Enjoy!

人生は死ぬまで挑戦。受験は、これから君が挑むであろう数えきれない挑戦の一つ、というくらいのもの。思いっきりもがいて、楽しんで!

娘は、淡々と静かな闘志を燃やし、行きたい学校だけ受けた強気の3連戦にすべて合格することができました。塾の方針を押しつけるのでなく、一人ひとりの個性に合う温かい指導をしてくださった先生方に心から御礼申し上げます。