SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

術後二度目の人間ドック

術後一度目のときほどではなかったが、またどこかに恐ろしい病気が見つかるのではと鬱々とした気持ちで臨んだ。人間ドックの先生たちは、私が大病を経験した要精密チェック人間だからか、ものすごく優しい。胃カメラも、ポリープだらけなのに「慢性胃炎のかけらもないきれいな胃です。こんなきれいな胃にできるポリープは良性なので全く問題ありません」と強調してくれたり、OKだった項目も、丁寧に理由付きで「大丈夫です!」と安心させてくれる。そして、最後の医師からのフィードバックは圧巻だった。

・悪玉コレステロールは、1だけオーバーしているが、これはアウト。受験でも、ビリで受かるのと、トップで落ちるのとでは雲泥の差。術後1年目はビリでもクリアしたのに、気が緩んで今回はアウト。甘いもの、揚げ物、乳製品の食べ過ぎにも気を付けて、よく運動して、一年しっかり自分を律してください。来年は正常範囲にしてください。外側がきれいでも(と、ここはお世辞で持ち上げて)内側がドロドロじゃ嫌でしょ。

→これはもうおっしゃる通りで、ぐうの音も出なかった。受験の比喩も、Uの結果待ちという現状とオーバーラップして痛いほど説得力があった。

・ちなみにさっきここでお昼食べたでしょ。最後にクッキー出ましたよね。(嗚呼!食べちゃいました!と言うと、、、)それはいいんですけどね、こちらが出しちゃってるんですから。でもね、あれね、たった一枚で91Kcalもあるんですよ。消化しようと思ったら、2kmを息が上がるくらいで走らないとだめ。(そんなのできません、、、)でしょ。だから、そうやってちょっとだからと思っても、運動で解消しきれずに、だんだんたまっていくんです。(これからは子どもへのおみやげにします、、、)そうです。お子さんはね、まだ甘いものを食べても大丈夫なんです。ぜひ、おみやげに持ち帰ってください。

・手術を受けた病院で、マンモグラフィとエコーのタイミング、受ける場所をきいてくるように。先生は忙しいから、細かくは教えてくれない。タイミングと場所は、たくさんのパターンがあるから、ちゃんと書き出して質問せよ。先生は〇✕をつけるだけにしておくとよい。

→これもおっしゃる通り。マンモグラフィとエコー。手術を受けた病院、ブレストクリニック、人間ドック。半年ごと、一年ごと、二年ごと。これの組み合わせ。何種類になるんだろう。たくさんある。手術を受けた病院では年に一度の経過観察。問診の短い時間で、この組み合わせを全部覚えて口頭できくなんて無理だ。書こう、紙に。書こう。

・便中ピロリ菌の検査、これ、二年前も受けててOKでしたよ。受けたの忘れてた?でも二年前はしかたないよね、乳腺の事件でそれどころではなかったものね。わーっと吹っ飛んじゃったよね、ほかのすべてが。たいへんでした。で、ピロリは今回は必要なかったですね。今回OKなら10年くらいは受けなくていいです。そんなにすぐに育たないから、ピロリは。

・ポリープは、いろいろなところにあるけれど、ちゃんと毎年チェックすればいいんです。大きな病気を乗り越えたんだから、晴れやかに前に進めばいい。親戚の集まりとかがあったら、おせっかいおばちゃんになって、そこにいるすべての女性に乳がん検診すすめてください。(ピンクリボンアドバイザー初級を取ったと言ったら、、、)それはすばらしいことです!

健康だったときは1分で終わったフィードバックが、今回はなんと30分。しかもおもしろくて、力を与えてくれる先生だった。手取り足取りアドバイス。診察室が、先生の一人芝居の劇場のように感じた。こちらはずっと笑いっぱなし。この先生に当たったのは、偶然かな。ラッキーだった。

そう、何を隠そう、私は甘いものが好きなのだ。もう認めるしかない。そして、意志も弱い。でも、今日の先生に一年後胸を張って「悪玉コレステロールを正常範囲に入れました!」と言えるように、がんばろう。併走してくれる人がいると、安心して走ることができる。

たった30分話しただけで、その後一年間会わなくても、いや二度と会わないかもしれなくても、併走してくれると感じられる存在。偉大だ。健康とは、心技体すべてセットで考えなくてはいけない。いい医師の言葉からは、そんなメッセージを強く感じる。