この夏、小2の娘が初めて詩の本と出会った。娘の名前は「詩(うた)」という。なのに、詩の本を一冊も持っていなかったので、ぜひ読んでみたいと思っていたそうだ。書店で選んだのは、金子みすゞの詩集。気に入った一節を夏休みの日記に書きとめたら、クラスの皆に紹介されたという。
「青いお空のそこふかく、海の小石のそのように、夜がくるまでしずんでる、昼のお星はめにみえぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」・・・いい詩だ。この子はどこをいいと思ったのか。「見えぬもの」ってほかに何がある?と、試すような質問をしてみた。「心」なんて答えが返ってきたらどうしよう、と親ばかな心配をしていたら、「空気!風!」ときてホッとした。
「そんなことより、この詩ってどの文も12文字なんだよ!」と自分の発見に満面の笑みを浮かべている。言葉のおもしろさがわかってきたようだ。彼女と言葉との長いつきあいが、まさに始まろうとしている。
私はといえば、いまだ日本語の奥深さに感嘆しながら、その使い方に四苦八苦する毎日。それでも言葉を扱う仕事に就いていることを心から幸せだと思っているのである。